レーザーカッターと電子工作で時計を作りました

神山メイカーズスクールの講習で、FDAの夏山さんにレーザーカッターの仕組みや使い方をレクチャーして頂きました。
練習課題として、時計の文字盤を作りました。illustratorでデザインして、レーザーカッターで切り出します。

カット中!
カット中!

グラフィックデザインは苦手なのでかっこいいものが作れるか心配だったのですが、夏山さん曰く、「レーザーカッターが重要なのではなくて、レーザーカッターを使ってなにを作るかが重要」とのことだったので、文字盤自体には変にこだわらず極シンプルにして、グラフィックデザイン以外のところで個性を出すことにしました。

と、いうわけで、LEDを光らせてみます!ただずっと光っているLEDをくっつけてもつまらないので、時計の動きに合わせて点滅するようにします。

マイコンを使ってしまえば1秒に一回ピカッと光らせるのは簡単です、が、ムーブメントと同期させないとズレが蓄積していくのは目に見えているし、ただの飾りのLEDのためにマイコン使うのはあきらかにオーバースペックです。

そこで、ムーブメントの電気系統をハックして、なんらかの信号を取れないか試してみました。

ムーブメントの中身。コイルの裏に基盤がある
ムーブメントの中身。コイルの裏に基盤がある

安い壁掛け時計の裏側に必ずついている、標準的なムーブメントです。多分中身の構造はどれを使ってもある程度一致していると思います。

フタを開けて中を見ると、小さな基盤に水晶とチップとコイルがくっついているのものがありました。クオーツ時計は水晶(クオーツ)振動子が発生する高周波パルスを分周していって、最終的に1Hzのパルスに落としてステッピングモータを駆動するそうです。つまり、水晶は発振子、チップは分周回路(とコイルの制御系)、コイルは電磁石ってことです。

試しにコイルの両側にテスタをあてて電圧を測ってみると、-700mVから+700mVの間を2秒周期で振動していました。これがどういうことかというと、1秒に一回、コイルに極性を切り替えた電流を流して、電磁石の極性を変えてギヤを半周させているという仕組みなんだと思います。

これは信号として使えそうなので、コイルの両側に被膜線を半田付けして、ケースから引き出しました。

裏側。ムーブメントから黒い被膜線が伸びている。
裏側。ムーブメントから黒い被膜線が伸びている。

700mVではLEDの駆動には不十分だし、直接繋いだらコイルに十分な電流が流れなくなる可能性があるので、トランジスタを使って増幅することにします。

回路図
回路図。信号はサイン波で近似したがじっさいは交流パルス

回路はごく単純です。トランジスタはスイッチとして使い、入力信号のmaxは0.6Vを超えているのでバイアスはいりません。Reはベースの入力抵抗を上げてコイルに十分電流が流れるようにするために入れています。コンデンサはLEDがゆっくり消えると面白いので入れてみました。これだとLEDには電流不足かなって定数になってますが、信号にサージでも入っているのか、これでけっこう明るく点灯したのでこうなっています。各自調整してみてください。

スイッチング回路。ラグ板に作ってみました。
スイッチング回路。ラグ板に作ってみました。

パルスが交流なので、実はこの回路だと2秒に一回の点滅になります。1秒に一回にしたかったら、バイアス抵抗を入れてベース電位を持ち上げてやって、さらにダイオードブリッジで全波整流すればできるはずですが、ダイオードのストックがあまりないので今回はやりませんでした。

配線をしたら完成!
配線をしたら完成!

LEDを文字盤に埋め込んで、各所の配線をしたら完成です。普段は裏に隠れている電子回路を表に持ってきてみました。

点灯の様子です。LEDは寝る時間と起きる時間の2箇所に付けてみました。

グラフィックデザインが苦手でも、レーザーカッターを活用して個性的な作品を作れることがわかりました!

LISPing at the end of time.